2020-05-21 2020-05-21 冬の蛍 「別にね、不満があるわけじゃないのよ、あなたは才能があるし、それがあなたにとって一番大事なことだってことも知ってるつもり。ただね、ちょっと疲れちゃったの。それだけ。ね、だから、しばらくの間会わないでおきましょ」 半ば一方的にそう宣言されて、部屋を出ていく博子を見送ったのがクリスマスの二ヶ月前のことだった。借りたばかりの2DKのこの部屋は、一人で暮らすには広すぎて、僕はたちまち生活を持て余すことにな […] 続きを読む